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2024/05/02 02:21 |
因幡のしろうさぎの話
出雲国(いまの島根県東部)にオオナムジという神がいました。

(オオナムジの神とは、大穴牟遅神と書く。  後のオオク二ノヌシと呼ばれる神である。  こちらの神話の中では大黒様とも呼ばれるが、やはり大国主命で語られている。)

スサノオの命の子孫で、その六代目にあたる神の、 大国主命には何十人もの異母兄弟がいました。
大国主命は見下され、家来か下男のようにあつかわれていました。

ある日、兄弟たちは「出雲国はおまえにやろう。おまえがこの国を治めるがいい」と 大国主命に言いました。
それは、このあたりで一番美しいといううわさの 因幡国(いまの鳥取県東部)のヤガミ姫との結婚を夢見て、 求婚のために兄弟そろって因幡国へと向かうことを決めたからでした。
因幡国に移り住むことになれば出雲はもう不要、と兄弟たちは考えたのです。
従者であることは変わりのない大国主命は、 兄弟たちからあずけられた大量の荷の入ったふくろを肩にかついで、 一番後ろから因幡へと向かったのであります。

前を行く兄弟たちは、気多の岬のあたりで横たわる一羽の兎をみつけました。
兎は全身の毛をむしられ、からだじゅうに無数のきずもありました。

聞くと、兎は住んでいた淤岐の島からどうしても本土に渡りたくなり、 その海に暮らすワニ(サメ)たちを集め、その背を渡ろうと考えたのであります。 そこで兎は、兎とワニとの数くらべを思いつき、 淤岐の島から岸まで、ワニをずらっと並べ そのワニの背の上を数を数ながら渡って行ったのですが、後一歩のところで 最後にいたワニは、だまされていることに気が付いてしまい、 怒ったワニ達の鋭い歯で、兎は体の毛をすべてむしりとられてしまったことを話したのであります。

すがるような目で見つめる兎に、いじわるな兄弟神たちは、 「海に入って海水を浴び、高い山の頂に横たわって風にあたれば治るよ」 そう言って、行ってしまったのであります。
言われたとおりにした兎は、浴びた海水がかわくにつれて、 からだじゅうの皮膚が裂けて血がふきだし、ひどい痛みで泣いておりました。

そこにやってきた大国主命は、兎から話を聞き、言いました。
「いますぐに川の河口にいって真水にからだをひたし、塩を洗い流しなさい。  それから、河口のあたりに生えている蒲の花粉で全身をおおえば、  傷も治り、もとどおりのきれいな毛も生えてくるだろう」と。

大国主命の言葉のとおりにしたところ、たちまち兎はもとにもどることができたのです。
喜んだ兎は言いました。
「あなたの兄弟たちは、ヤガミ姫を妻にむかえることはできますまい。  袋をかつがされ、いまは従者のようにあつかわれているあなたさまが、  ヤガミ姫と結婚される方となるでしょう」
そして兎の言ったことは本当となり、大国主命はヤガミ姫を妻にしたのです。 これが、兎がいた島?白兎海岸にある淤岐の島です。 (兎がいた島は、隠岐の島では?という説もあり、定かではない)
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2006/12/10 00:00 | Comments(0) | TrackBack() | 神話

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